デイサービス(通所介護)事業開始までの流れ
ここでは、通所介護事業(デイサービス)の指定を受けるためのスケジュールについて解説していきます。
STEP1:会社を設立する(事業目的の変更)
介護事業を始めるためには、必ず法人格であることが条件となります。法人格でない場合は、最初に会社設立手続きを行います。
すでに法人格をお持ちの場合は、会社の事業目的欄に、
「介護保険法に基づく通所介護事業」
「介護保険法に基づく介護予防通所介護事業」
という文言が入っているかを確認して下さい。入っていない場合は事業目的の変更登記を行います。
STEP2:事業所を準備する
通所介護事業を開設するためには、事業所を用意しなければなりません。さらに、事業所には事務スペース以外にも食堂および機能訓練室、静養室、相談室が必要となります。
なお、事務所の賃貸借契約時には以下の事項に十分にご注意下さい。
- 事務所の契約者は必ず法人名で行うこと。(個人名義では、受理されません)
- 契約書の使用目的が『事務所』となっていること。
利用者10名以下の小規模デイであれば、民家やマンション等を改装して利用することも可能です。
この際に事業所を選ぶ注意点は、
- 食堂及び機能訓練室が1人あたり3㎡以上のスペースが確保されていること
- 食堂及び機能訓練室から静養室の見通しが良いこと
- 入口がスロープなどの装備を付けて段差などが解消できること
- 消防車等の緊急車両がスムーズに往来できること(袋路などは避けた方がよい)
- 建築法令上で用途変更の必要がないか(床面積が100㎡を超えないこと)
- 詳しい平面図が存在するかどうか
主に以上のことに注意して選択して頂ければスムーズに申請を行うことが可能となります。
※ご依頼者の方には不動産会社のご紹介も可能です。お気軽にお申し付けください。
大阪府では、事前に消防署や市役所等で建物の基準要件を確認してから、府庁での事前協議に望めますのでご注意下さい。
STEP3:建物の改装工事に着手
事業所の場所選定が終われば、建物の改修工事に着手していきます。事業開始の予定月を設定してスケジュールを立てて下さい。
※必要に応じて改修工事業者のご紹介も可能ですので、お気軽にご相談ください。
STEP4:人員を確保する
通所介護事業には、管理者、生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員が必ず必要となりますので、これらの人員を確保していきます。
10名以下の小規模デイであれば、管理者兼生活相談員 1名、介護職員 1名、機能訓練指導員 1名が確保できれば一応要件は満たします。
しかし、実際の運営上は、サービスの内容、お泊りの有無、レクリエーション、食事の提供、送迎、営業日時等で他の事業所と差を付ける必要もありますので、事業所に合った人員確保が大切となります。
また創業時は、人員の確保も比較的行いやすいので、費用に余裕があればリクナビ等のネット広告や折り込み広告を利用されるのも効率的です。
人員は最終的に雇用できれば問題はありませんので、この時点ではとりあえず雇用契約書を締結しておくようにして下さい。
従業者の資格証等も必要となりますので早めに預っておいて下さい。
STEP5:事務所備品を準備する
通所介護事業の指定申請の時点で「いつでも通所介護事業を運営できる状態」である必要があります。
これを証明するため事務所内部の写真の提出が必要となります。
必要となる備品類を下記に列記致しますので、準備品のチェックを行って下さい。
- 電話機・FAX機(ビジネス用として、できるだけ一体型は避けて下さい)
※回線も2回線あった方が便利です。 - パソコン・プリンター・シュレッダー等
- 書類を保管するための「鍵がかかる書棚・書庫」
- 事務スペースに設置する机・椅子
- 相談スペースに設置する机・椅子
- 食堂テーブル・椅子
- 静養室用のベッド
- 電化製品(テレビ、エアコン、冷蔵庫、レンジ、オーブン、食器棚、浄水器、掃除機他)
- 車椅子、スロープ、手摺、ナースコール等の介護設備
- 災害用設備(自動火災報知設備、熱探知機、煙探知機、誘導灯、消火器他)
- 送迎車両
電話・FAX番号も指定申請時には必要となりますのでご準備下さい。
STEP6:いよいよ申請書類の準備
ここで、ようやく指定申請を行うための書類を準備していきます。
この時点で、別途用意しなければならないのが、損害賠償保険です。
最近では、介護事業者用の損害賠償保険が比較的安く加入できますので、各社を比較して選定してみてください。
なお、指定通知書が交付されるまでには保険証券のコピーの提出が必要となりますので、前もってお早目に加入手続きを終えておいて下さい。
保険会社が分からない場合は、当事務所からご紹介致しますので、お申し付けください。
都道府県の違いや個々の状況によってその他必要となる書類が発生することもあります。ご注意下さい。
STEP7:申請書類の提出
管轄の行政(県民局等)へ申請書類を提出します。提出書類に不備等がなければ受理されます。
ご自分で申請される方は、1回で問題無く受理されることは難しいので、念のため数回は訪問されることをご留意ください。
また、指定申請のための書類と同時もしくは指定後に、別途提出しなければならない書類もあります。これは、管轄庁によって提出時期及び提出先が異なりますので、申請の際に確認しておきます。
- 老人居宅生活支援事業開始届出
- 介護給付費算定に係る体制等に関する届出
- 介護保険法第115条の32第2項又は第4項に基づく業務管理体制に係る届出
- 生活保護法指定介護機関指定申請
当事務所へご依頼頂いた方は、上記書類の申請も全てお任せ頂けます。
補足事項:助成金や融資申請
上記のSTEP7までが通所介護事業指定申請の流れですが、この他に助成金の申請や金融機関への融資申請をご検討の方は前もってお申し付け下さい。
助成金申請は、会社設立前や従業者雇用前に手続を行わなければならないものも多く、申請時期を逃してしまい受給できなかったケースも多くみられます。
<利用可能な各種助成金━例示>
- 介護基盤人材確保助成金
介護関連事業主が、新サービスの提供等に伴い、特定労働者を雇い入れた場合に、対象労働者1人あたり上限70万円まで助成される制度です。介護事業を始める1ヶ月前までに最初の申請を済ませておく必要があります。 - 介護未経験者等確保助成金
介護関係業務の未経験者を雇用し、1年以上継続して雇用することが確実であると認められる場合に助成される制度です。雇入日から6ヶ月を満了した日の翌日から起算して1ヶ月の間に、都道府県労働局に対して助成金支給申請を行います。 - 受給資格者創業支援助成金
雇用保険の受給資格者自らが創業し、創業後1年以内に従業者を雇用し、雇用保険の適用事業の事業主になった場合に、助成金が支給されます。会社設立前に助成金の手続申請(法人等設立事前届の提出)が必要になります。
助成金申請は、手続において必要となる書類関係が膨大な量となります。当事務所では、提携の社会保険労務士と協力体制でお客様をサポート致します。介護事業を始められる前に、ぜひご相談ください。